うざ顔のルーツ
――イラストを描くようになったキッカケを教えてください。
SHOW:小さいころから絵を描くのが好きで、幼稚園から小学校のころはたくさん描いていました。よく模写していたのは鳥山明先生の「ドラゴンボール」や、井上雄彦先生の「バガボンド」ですね。
その後は絵をほとんど描かなくなってしまったんですが、20歳くらいになってからまた絵を描きたいと思って、デッサンを勉強しました。仕事がはじまるとまた絵を描かなくなって、それから何年も経っていたんですが、LINEスタンプの登場によってまた描き始めています。
――今まで描いた絵の中で、特に思い入れのある絵を見せてください。その理由も教えてください。
SHOW:スタンプの他に描いた絵は残っていませんが、小さいころは変顔をしたリアルなアンパンマンやドラえもんを描いて友達を笑わせるのが好きでした。
スタンプの中では「うざ顔対応 2」の「うぇ~い」です。リリース直後に母親から送られてきたのが衝撃的でした……。
■うざ顔対応 2

――スタンプがヒットして、日常生活にどんな変化がありましたか?
SHOW:仕事のためのソフトウェアや機材、勉強のための書籍などを買いやすくなったのが一番大きい変化ですね。あとはご飯のおかずが1品増えました。でもスーパーで買い物するときは未だに半額ハンターです(笑)。
――スタンプの売り上げで買った一番高価なモノは何ですか?
SHOW:液晶タブレットです。wacomの「Cintiq Companion 2」を買いました。購入してからはスタンプ制作も液タブを使用しています。それまではwacomの「Intuos」で描いていましたが、液タブを使うことで少しだけ描きやすくなったと思います。持ち運びができるように小さいサイズのものを買ったんですが、持ち運ぶ機会がほとんどないことに気づいて後悔しています(笑)。
スタンプ作りのコツ
――スタンプ制作にチャレンジしようと思ったキッカケは何ですか?
SHOW:もともとデザインの仕事をしていて、LINEスタンプが登場し話題になっていたため、スタンプ制作を依頼されてもすぐに対応できるように作り方を覚えておこうと思ったのがキッカケです。
――かわいい犬のキャラクターからシュール系へ、大きな方向転換を図った理由を教えてください。
SHOW:犬のキャラクターは、当時ランキング上位のスタンプがかわいい動物のキャラクターばかりだったのを参考にして描きました。
■かわ犬 トイプードル
全く売れなかったわけではありませんが、もっと売れるには方向転換が必要だと思って、シュール系の動物キャラクターのスタンプを2つほど描いたんです。でも、動物が血を吐いたりしていたのでリジェクトになってしまいました(笑)。
■かわ犬 トイプードル
全く売れなかったわけではありませんが、もっと売れるには方向転換が必要だと思って、シュール系の動物キャラクターのスタンプを2つほど描いたんです。でも、動物が血を吐いたりしていたのでリジェクトになってしまいました(笑)。
スタンプ作りのモチベーションが下がっている中、画面のキャンバスに何気なく手ぐせのままに変な人の顔をラクガキしたときに、「あれ?? これ、おもしろいかも」って思ったんです。既存のLINEスタンプでは見たことのない画風でインパクトがあったので、笑ってくれる人がいるんじゃないかと思って「うざ顔対応」を描き始めました。
――「うざ顔対応」の言葉や表情は、どのようにアイデアを生み出していますか? 何かヒントになったものや、工夫しているポイントがあれば教えてください。
SHOW:スタンプを描き始める前に毎回100以上の言葉を用意して、その中から40個のスタンプ構成を考えて言葉を選んでいます。選んだ言葉に合わせて、どんなキャラクターがどんな表情でその言葉を言っているとうざくておもしろいかを考えて絵を描きます。
できあがったキャラクターと言葉が合っていないときがあるので、そういうときはキャラクターの表情に合わせて言葉を変えるとうまくいくことが多いです。
――ご自身の作品のなかで、売れなかったスタンプと売れたスタンプにはどんな違いがありますか?
SHOW:私の場合だと、売れなかったスタンプは他のスタンプの作風を意識していて、売れたスタンプは独自の作風で描いたという点ですね。かわいい系のスタンプが多い中でうまく差別化できたのではないかと思っています。
――ヒットするスタンプを作るポイントは何だと思いますか。
SHOW:売れているスタンプの傾向に寄せて描くだけではなく、独自のアイデアが含まれていることが大切なのかもしれません。それに、独自のアイデアで作品を描いたほうが制作も楽しいです!
――これまで描いてきたイラストと違って、スタンプを作る際に難しいこと、また、工夫していることは何でしょうか。
SHOW:スタンプはコミュニケーションツールとしての使われ方を考えるのが難しいです。使う人の年齢や性別、使われる状況、使う人と受け取った人の気持ちを想像して描いています。
「うざ顔対応」の場合は、仲がいい人に対して笑いを取りたい状況で使うことが多いと考えているので、実際に笑ってくれた人がいたならとても嬉しく思います。
――40種類のイラストを作るコツを教えてください。
SHOW:テーマの設定や文言の選定にしっかりと取り組むことでブレない作品になるよう心がけています。「うざ顔対応」の場合は、文言の選定だけで数日かかっています。
時間をかければ必ずよくなるわけではないと思いますが、納得がいくまで作るようにしています。イラストの制作でもスタンプ1個に3時間以上はかかってしまうのでリリースまでに多くの時間が必要ですが、楽しみながら描くことでモチベーションを保っています。
いまオススメのスタンプ10選
――最近、オススメのクリエイターズスタンプを10セット教えてください。
SHOW:なんだろう、強いノスタルジーに襲われます。
SHOW:絵と言葉がハイセンス。「最悪水で」を使うシーンに遭遇したい(笑)。
SHOW:海獣の独特な色使いが好きです。
SHOW:絵がかわいい!言葉も使いやすい。
SHOW:ネコの哀愁のある表情がGoodです!
SHOW:隙があればぶっこみたいおもしろスタンプ!
SHOW:「歯磨きしてるから」では断れない(笑)。でもそういうところが好き。
SHOW:岡山弁はしらんけど、味のあるスタンプじゃけえ。
■mana's Sticker♡
SHOW:なかなかの画伯っぷりです!
SHOW:なかなかの画伯っぷりです!
――いま注目しているスタンプクリエイターがいましたら、教えてください。
SHOW:普段、他のクリエイターさんに注目することはないのですが、おすすめスタンプに紹介した「A good friend of men and women.」のeiji mayaさんのスタンプは独特の世界観が好きです。
コピーライト表示の「eiji 1953」から上の世代の方と予想しているのですが、若い世代には出せない味があります。今後のスタンプも期待しています!
最後に伝えたいこと
――スタンプ作りを頑張っているクリエイターの皆さんに、メッセージをお願いします。
SHOW:ヒットするスタンプを作りたいときに、売れているスタンプに寄せて描く方法もあると思いますが、そのせいで制作をつまらなく感じている人もいると思います。
私もそうでした。そういうときは自分の描きたいものや自分にしか描けないものを描くことで、楽しみながら思わぬヒット作を生むことができるかもしれません。みなさんのオリジナリティにあふれた作品を楽しみにしています。
うざ顔対応の第3弾が登場しました。セリフはベーシック、顔はかなり個性的です。新作情報
■うざ顔対応 3 よくつかうやつ

プロフィール

SHOW(ショウ)
東京都在住のデザイナー。地道にスタンプを作っていきますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
東京都在住のデザイナー。地道にスタンプを作っていきますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。